Journal
Editorial greeting
JRD編集委員長 尾畑やよい
(東京農業大学 生命科学部 バイオサイエンス学科 教授)
2019年9月よりJRD編集委員長を努めさせて頂くことになりました。このような任務にあたり改めてJRDの歴史をふり返りますと、決して一朝一夕ではなく長い時間をかけて堅実にJRDが発展し続けてきたことを知り、JRDを託された責任を重く受けとめております。編集委員長といたしまして以下の目標を掲げてJRDの発展に尽力したいと存じます。この目標は、私一人では成し得ませんが、編集幹事、編集委員、日本繁殖生物学会員の皆さまのご支援・ご協力のもと進めて参りたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
1.日本繁殖生物学会員を軸としたJRDの発展
私が大学院生の時、初めてfirst authorとして掲載された科学論文はJRDでした。その時はとても嬉しく感動したのを覚えています。自分が遂行してきた研究が「作品」としてまとまるのはとても嬉しいものではないでしょうか。JRDに限りませんが、投稿した論文は、査読者による客観的な評価を受け、そのコメントをもとに改定したり、追加実験を行ったり、時には論理的に反論したりということが行われます。その結果、掲載されるまでのプロセスで必ず投稿時のオリジナルの論文よりもさらに良い「作品」となって公開されます。JRDの編集には日本繁殖生物学会員の多くの方々が関わっていただいています。「作品」がより良くなるために、JRDという場を通して、メンターや共同研究者以外に日本繁殖生物学会員からも(実は知らず知らずのうちに)育てていただいている、と私自身は感じております。会員びいきというとよく聞こえませんが、これは論文として不適切なものを掲載するということではなく、会員の論文がより良い「作品」になるまで議論をするということだと考えます。今後もJRDはこのスタンスを大事に継承して行きます。若い会員の方々が育つ土壌として、あるいは日本繁殖生物学会員の皆さまの研究発展の場として、そして新規性と確度の高い研究成果を発表・議論する場としてJRDは在り続けます。
2.JRDの完全電子化と国際発信力強化
JRDは1999年に全文が英文となって(和文部門の停止)以来、2003年にはPubMedに登場するなど、歴代の編集委員長、編集幹事をはじめ多くの方々のおかげで、現在の国際誌としての地位が確立されるに至りました。また、日本科学技術振興機構(JST)の運営システムを利用したJ-STAGEや米国国立医学図書館(NLM)のシステムを利用したPMCにより、オンラインで全文が無料公開されるようになり、世界中の研究者がJRDの論文を即座に閲覧することができるようになっています。JRDに関する論文検索、査読、情報発信の全てがオンラインで遂行可能となり、このシステムは日本繁殖生物学会員にも既に浸透しています。そこで、今後は、JRDの冊子体(紙媒体)の新規刊行を終了し完全電子化(オンラインジャーナル)に向けて動き出します。オンラインジャーナルの多くは高額な掲載料がかかりますが、JRDでは従来のカラーチャージがなくなることから、実質、掲載料の値下げにつながります。また、掲載料軽減のためにカラーの図をモノクロで掲載する必要もなくなります。JRDの国際発信力の強化、すなわち、JRDへの投稿数およびJRDの引用数増加に向けて、JRDの魅力やインセンティブを国内外に積極的にアピールして行きます。
以上の目標を掲げましたが、まずは草の根的な活動から、時には様々な方々からお知恵を拝借しながら、一歩一歩進めて行ければと考えております。重ねて皆様のご支援・ご協力をお願い申し上げます。
JRD_Online
日本繁殖生物学会(SRD)理事会での慎重な検討の結果、このたびJournal of Reproduction and Development(JRD)をオンラインジャーナルに移行することを決定いたしました。長らく親しまれてきた冊子体には様々な方の思いが詰まっていると思いますが、JRDの制作経費削減、コンピュータやタブレット端末普及の観点などから、冊子体(紙媒体)のJRDの新規刊行を2021年67巻3号で終了し、2021年8月(67巻4号)よりJRDを完全に電子化し、オンラインジャーナルとすることに致しました(2020年6月20日のSRD理事会で承認)。
これからもまた新しいJRDを皆様と一緒に作り上げ、繁殖生物学分野の発展に貢献できればと思います。
変わらぬご支援を賜りますようどうぞよろしくお願い致します。
日本繁殖生物学会理事長
束村博子
JRD 編集委員長
尾畑やよい