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第20回若手企画シンポジウム 報告

  • 第114回日本繁殖生物学会京都大会(Web)で開催されました、第20回若手企画シンポジウムについてご報告いたします。今回のシンポジウムでは、「ノーベル賞受賞者のラボでの研究生活」と題し、2012年度ノーベル生理学・医学賞を共同受賞したJohn Gurdon博士および山中伸弥博士のラボに、ノーベル賞を受賞した正にその時に所属していた宮本圭先生(近畿大学)・大貫茉里先生(Ludwig Maximilian University of Munich)に話題提供をしていただきました。また、今回の企画も昨年度に引き続き、リモート形式で実施しました。

  • 第20回若手企画シンポジウム 一枚目

  •  築山先生(滋賀医科大学)と奥山先生(大分大学)の司会進行のもと、まず演者のお二方から「先生の人柄」「研究スタイル」「他のラボとの違い」「受賞前後の先生とラボの様子」に加えて、「海外留学」「日本と海外の違い」なども交えてご講演いただき、その後、口頭とQ&A機能を用いて質疑応答を行いました。

  • 「What is your question ?」
  •  これが本企画のハイライトではなかったでしょうか。明確なquestionを立て、戦略を練り、実行し、答えを得る。サイエンスはこのサイクルで成り立っており、ノーベル賞受賞者のラボでも特別なことはほとんどないことが印象的でした。さらには、どちらのラボにおいても、ディスカッションの時間をしっかり取ること、立場に関係なく意見を言い合える関係性でいることの2点を大切にしていることがわかりました。手を動かして実験をすることは言わずもがなですが、研究について話す時間をたくさん作り出すことが、研究を進展させ、洗練させるポイントであり、その一歩一歩の積み重ねがノーベル賞に繋がっているだけなのかもしれません。勿論、共通点ばかりではなく、先生の個性がしっかりとラボ運営に反映されているところや、ティータイムやコアタイムなど国柄もあり、サイエンスの根底にあるもの以外には正解はないとも考えられます。正会員の皆様が学生・ポスドクを指導する際にも、とても参考になる内容でした。

  • 第20回若手企画シンポジウム 二枚目

  •  また、宮本先生と大貫先生から、特に若手会員へ向けてたくさんのメッセージもいただきました。自分のやりたい研究をするために積極的に売り込むことの大切さ、それが海外だから(英語が苦手だから)と躊躇わずに飛び込む勇気、自分が提案した研究テーマでなくとも、自分で考え、実行し、解決するトレーニングになること(将来に役立つ)など。海外留学したい!と思った人も多かったのではないでしょうか。

  •  本企画シンポジウムには、学生会員20名および正会員66名の合計86名の参加登録がありました。また、当日アンケートの結果から、皆様に大変ご好評だったことが見受けられました。ご参加・ご回答いただいた皆様に、若手奨励策検討委員一同、心より感謝申し上げます。一方、改善点やご意見なども頂戴しましたので、今後より良い若手企画シンポジウムの開催に向けて参考にさせて頂きたいと考えております。本企画についてのご意見などは、最寄りの若手奨励検討委員までいつでもお知らせ下さい。
  •  若手奨励策検討委員会では、今後も若手から学会全体を盛り上げることができる企画を考えてまいりますので、次回の若手企画シンポジウムにも是非ご参加ください。最後にご協力いただきました、京都大学の関係者の皆さまに暑く御礼申し上げます。

  • **アンケートの集計結果はこちら**

  • 参加者からの寄稿
  • 「若手企画シンポジウムに参加して」
  • 名古屋大学大学院生命農学研究科 動物生殖科学研究室
    長江 麻佑子
  •  昨年に引き続き、今年も新型コロナウイルス感染症の影響で若手企画シンポジウムはオンライン開催となりましたが、オンラインであることを生かして、簡単に会うことのできない海外で研究をされているような先生の講演も伺うことができ、充実した2時間を過ごすことができました。今回はノーベル賞受賞者のラボでの研究生活ということで、分化した細胞を分化前の多能性の状態に戻す方法の発見によりノーベル賞を受賞されたジョン・ガードン先生の研究室に所属していた宮本先生、山中先生の研究室に所属されていた大貫先生の話を伺いました。ノーベル賞を受賞された当時は、私はまだ研究室に配属されておらずそのすごさは理解していなかったのですが、多能性やiPS細胞は繁殖生物学の分野にも大きく関わりがあり、現在私もそのような研究の恩恵を受けていて、本当に重要な研究だと感じます。ジョン・ガードン先生、山中先生がノーベル賞を受賞される以前から、その研究室で研究したいという強い思いを持って行動されたことを宮本先生、大貫先生のお話から伺い、大変参考になりました。また、現在も研究者として活躍され、研究を楽しんでいることも知ることができました。今回のシンポジウムを受けて、私も積極的に行動していきたいと思いました。最後になりますが、本シンポジウムで講演頂いた宮本先生、大貫先生、企画、運営してくださった皆様に感謝申し上げます。


  • 「若手企画シンポジウムに参加して」
  • 鳥取大学農学部共同獣医学科 獣医生化学研究室
    新谷 亜蘭
  •  今回のテーマは「ノーベル賞受賞者のラボでの研究生活」ということで、John Gurdon先生のラボに所属していた宮本圭先生と山中伸弥先生のラボに所属していた大貫茉里先生のお二人にお話しを伺いました。John Gurdon先生のラボと山中伸弥先生のラボは研究や業務のスタイルが対称的で、ノーベル賞受賞者のラボはこうあるべき!と一概に言えないところが興味深かったです。先生方のリアルな体験談を聞くことで研究のモチベーションも上がり、大変貴重な経験となりました。研究者としての今後の進路を今一度深く考えるきっかけにもなりました。また、今回はオンライン開催であったため、匿名のチャット機能により質疑応答をする運びとなりました。チャットによる質疑応答ですと、普段聞きづらいような些細なことでも気軽に質問することができて非常にありがたかったです。最後になりますが、シンポジウムを企画してくださった皆様に感謝申し上げます。来年もこのような機会があれば是非参加させていただきたいです。

  • 文責:若手奨励策検討委員会 [委員長:樋口雅司(鳥取大学)]