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日本繁殖生物学会(JSAR)・豪州繁殖生物学会(SRB)合同シンポジウム2005
(静岡大会)
クリーン、グリーン、エシカル(清・緑・倫)な家畜繁殖システム
私たち繁殖生物学研究者の研究の出口の一つである畜産業をとりまく社会的背景は、大きく変化してきています。すなわち、日本の消費者は狂牛病、口蹄疫、偽装詐欺事件などをきっかけ生産者にも安全・安心を求める姿勢がより強まってきています。一方、オーストラリアやニュージーランドのような畜産物輸出大国においても、主要顧客である欧州諸国等での安全・安心な畜産物を求める声や、動物福祉的な観点で動物に優しい飼育方法を生産国に強く求めるようになってきており深刻な状況にあります。これらの国以外でも、消費者の声の変化に答えるために法規制を強化する国が増えてきています。そのため、これまで発展してきた飼養管理体系だけでは不十分になってきており、繁殖技術も例外ではなく改善が求められてきています。しかしながら日本においてもオーストラリア・ニュージーランドにおいても、このような問題に対する繁殖研究者の間の認識は多少なりとも戸惑いがある事が事実であり、具体的な研究戦略に対する展望も不十分であるのが実状です。また清・緑・倫な畜産でも、高コストであったり、実施困難な技術体系であってはなりません。そのため、動物の生理や行動に対する知識を深め、科学的な根拠の蓄積と明確な目的意識のもとに、長期的視点で畜産システムの改善に取り組んでいく必用があります。畜産システムの生産性・利益率のカギとなるのは、繁殖効率です。このような背景を踏まえて、今回の日本・オーストラリア・ニュージーランド間で初めて開催される繁殖生物学会国際共同シンポジウムでは、薬物・ホルモン剤利用量の削減、土地利用型畜産、動物福祉といったクリーン・グリーン・エシカル(清・緑・倫)な畜産のための繁殖研究という観点で、今後の研究展開の土台になる話題を提供していただき議論することにしました。
プログラム
歓迎の辞
日本繁殖生物学会会長 佐藤英明(東北大学)
オープニングスピーチ
オーストラリア繁殖生物学会 Dr. Graeme B. Martin(西オーストラリア大学、オーストラリア)
シンポジウムの目的
永井 卓(畜産草地研究所)
セッション1
座長 Dr. Scott McDougall(アニマルヘルスセンター、ニュージーランド)
前多敬一郎(名古屋大学)
1. カラーエコーになって見つけられた事実:カラーエコーは繁殖管理の新しい道具となるか?
宮本明夫(帯広畜産大学)
2. 羊など小型反芻動物の繁殖効率を高めるための自然な方法
Dr. Graeme B. Martin(西オーストラリア大学、オーストラリア)
3. 栄養と繁殖を結ぶ分子リンク、レプチン
角川博哉(畜産草地研究所)
セッション2
座長 Dr. Graeme B. Martin(西オーストラリア大学)
角川博哉(畜産草地研究所)
4. 卵子と初期胚の栄養状態がその後の正常な胎子発育へ及ぼすインパクト
Dr. Jeremy G. Thompson(アデレード大学、オーストラリア)
5. 乳牛は自分の問題を一番よく知っている:日本での乳牛の繁殖の問題解決の突破口を見つけるために
中田 健(酪農学園大学)
6. 季節変化と放牧の積極利用の視点、ニュージーランド酪農における乳牛の繁殖
Dr. Scott McDougall(アニマルヘルスセンター、ニュージーランド)
総合ディスカッション
座長 Dr. Graeme B Martin(西オーストラリア大学、オーストラリア)
宮本明夫(帯広畜産大学)
クロージングスピーチ
西原真杉(東京大学)
2006年共同シンポジウム(ゴールドコースト)への招待
オーストラリア繁殖生物学会 Dr. Graeme B. Martin(西オーストラリア大学)
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