研究室紹介
名古屋大学大学院生命農学研究科 前多敬一郎 |
【JRD2005年8月号(vol.51, No.4)掲載】
研究室は一昨年の10月に創立50周年を迎えました。創立当初から一貫して、内分泌学という観点から、動物の繁殖現象を制御するメカニズムについて研究をしてきました。その時代で研究の対象とした現象は泌乳、性成熟、発情周期などさまざまですが、ホルモンの作用や分泌のメカニズムの解析を中心としたアプローチという点では変わりません。
本研究室はもともと「家畜繁殖学講座」として畜産学科内に設置され、その後、大学院などの改組に伴い、名称が変遷しましたが、平成16年度に新しく設置された生命技術科学専攻へ移動し、「生殖科学研究分野」と名称を変えて、平成17年度より新しい出発をしました。生命技術科学専攻は、現代の生物産業が抱える課題の解決を目指した研究と、課題解決型の人材養成をめざして設置された専攻で、本研究分野もその理念に基づき、従来の畜産業に加え、製薬あるいは食品分野への貢献を目指しています。現在のメンバーは、教授(前多敬一郎)、助教授(束村博子)、助手(上野山賀久)の3名の教員に加え、非常勤事務員1名、日本学術振興会外国人特別研究員1名、博士課程後期課程3名(社会人1名)、博士課程前期課程12名(留学生1名)、学部4年生6名の総勢26名で毎日、活発に研究を進めています。
現在進めている研究は大きく2つに分かれます。ひとつは生殖機能を制御する生理メカニズムを神経内分泌学的アプローチにより明らかにしようとする研究、もうひとつは新規に発見されたGタンパク共役型受容体のリガンドペプチドの生理機能を明らかにしようとする研究です。前者においては、現在栄養による繁殖機能の制御メカニズム、脳の性分化メカニズム、性成熟のメカニズムに関する研究を行っています。後者では、新規な神経ペプチドの生殖あるいは摂食における生理的役割に関する研究を行っています。いずれも基礎的な研究が主となっていますが、創薬あるいは家畜・ヒトの臨床応用に向けた応用研究も同時に進行しています。
研究室では、セミナーやプログレスレポートを通して発表や議論の方法を日常的に磨くことを心がけています。さらに国内の学会、あるいは国際学会において、その成果を実践することを奨励しています。農学系の学会ばかりでなく、他分野の研究者が参加する学会や研究会にも積極的に参加し、「他流試合」を行うことで、他分野の研究者との交流も盛んです。また、毎年恒例の夏合宿(写真参照)では、「よく学び。よく遊び。」を実践しています。これらの活動を通して、学生のみなさんが力をつけていくのを見ることは、とても嬉しいことです。
2004年夏合宿、長野県木曽郡上松町にて。 詳しくはホームページ(http://www.agr.nagoya-u.ac.jp/~hanshoku/)に掲載されていますので、ぜひ一度ご覧ください。
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