書評

動物発生工学

岩倉洋一郎・佐藤英明
舘 鄰・東條英昭 編集 
発行/2002年9月
朝倉書店
ISBN4-254-45020-6
定 価/本体5,000円+税

【JRD2002年12月号(Vol. 48, No. 6)掲載】



20世紀半ばから、哺乳類の体外受精法、初期胚の体外培養法、培養胚の移植法などの基盤となる諸技術が開発されはじめ、世紀末には核移植法、体細胞クローン動物作製法などの開発にいたった。20世紀中に哺乳類の発生工学のためのひととおりの道具が揃い、21世紀はこれらの道具を駆使して様々な応用技術の発展・展開が期待されている。これを担う若い研究者を育てるためには、優れた教科書が必要である。これまでにも類書は数多く発行されたが、1990年代に急速に進歩した最新技術を網羅したものではなかった。加えて、ヒトの存続の根幹に関わる生殖医療への応用が可能な技術であるので、研究の歴史をふまえた倫理問題が重要であるにも関わらず、充分に言及されたものがなかった。本書は、我が国の動物発生工学に初期から携わって研究をリードしてきた第一人者たちが、研究史、発生学の基礎、発生学に関わる諸技術の基礎および哺乳類のみならず魚類、鳥類への応用、そして倫理を講述したものである。初心者の学生諸氏はいうまでもなく、評者も含めた中堅研究員も座右に常備したい良書である


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