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神戸大会(10/2〜4)での「若手企画シンポジウム」に是非ご参加下さい。研究のこと、学問のこと、将来のこと、学会のことについて考え、熱く語り合いましょう!
日本繁殖生物学会若手奨励策検討委員会では、企画もの第一弾として、神戸大学で開催される第93回日本繁殖生物学会大会において、「若手企画シンポジウム」を開催いたします。本企画では、若手研究者同士の交流や若手研究者のエンカレッジメントを大きな目的としています。スピーカーの方々に話題提供をしていただきますが、主役は出席者全員です。「ミキサー」で軽い「ビバレッジ」と「サンドイッチなどの軽食」を準備いたします。通常のシンポジウムとはひと味違う雰囲気で本音を語りあい、ディスカッションを盛り上げてください。この機会が将来の飛躍のためにお役に立てればと思います。
たくさんの若手研究者の方々にご出席いただけますようお願い申し上げます。もちろん気分は若手研究者の方、昔は若手研究者の方のご出席も大歓迎です。楽しいひとときをご一緒しましょう。
日 時:2000年10月3日(火)19:00〜20:30(大会2日目の夜)
場 所:瀧川記念会館(会場案内図はこちらから。)
会 費:学生は無料、その他の方は500円です。
スピーカー:
「学会の過去・現在、将来への期待」
学会の歴史について触れ、将来の発展を期して若手研究者を叱咤激励していただきます。
「妊娠・着床に関する遺伝子発現プログラム」
着床にかかわると考えられる遺伝子群の発現についての最近の知見をもとに、母体と胚との相互作用・関係についてお話ししていただきます。
「ポストゲノムを生き残るために−二次元電気泳動法による減数分裂誘導因子の同定−」
精子発生について概説していただき、減数分裂誘導因子について最近の研究成果をお話ししていただきます。
司会進行:束村 博子(名古屋大・院・生命農学研究科、若手奨励策検討委員会委員長)
「妊娠・着床に関する遺伝子発現プログラム」
今川和彦、吉岡健一、松田二子、酒井仙吉
東京大学大学院農学生命科学研究科・動物育種繁殖学研究室
着床は妊娠成立のための起点であると考えられているが、その生命現象はいまだに解明されていない。着床の開始にはまず遺伝的背景の異なった母体と受精卵・胚盤胞が子宮環境内で、相互のコミュニケーションを基盤にしてお互いの存在を認識する「母体の妊娠認識」が起こらなければならない。さらに、胚盤胞は子宮上皮にデリケートにしてかつ有機的に結合し、子宮間質に向かって浸潤していく。様々な動物種において胚盤胞の子宮上皮・間質に対する浸潤程度に差異があるものの、両者の発育・発達の同期化が着床を制御していることは疑いの余地がない。
ヒトでは、子宮が胚盤胞を受容する期間はimplantation windowと呼ばれ、受容できる状態をuterine receptivityと定義されている。長年、uterine receptivityに対するマーカーの検策が行われ、それに関与する遺伝子は多々報告されているが、現象を制御する特定の分子は今だに同定されていない。このことは胚の子宮への着床を制御する遺伝子は単一ではなく、複数の遺伝子群が関与している可能性を示唆している。もし、着床現象が複数の遺伝子や関連遺伝子群で制御されているならば、いままでの分子生物学的手法では解析しきれない。そこで筆者らは、マウスの着床前後期に発現する遺伝子群の同定を、マウス遺伝子解析用のGeneChip(6500遺伝子、 Affymetrix社)を使って行った。マウスの受精卵・胚盤胞は妊娠4.5日に着床し始めるのでマウスの妊娠3.5日と5.0日の受精卵と子宮角からそれぞれRNAを抽出した。その RNAをcDNAに変換し、それらのcDNAを鋳型としてDig-UTPでラベルしたcRNAを作製した。そのcRNAをGeneChip上のオリゴヌクレオチド群にハイブリダイゼーションし、 GeneChip上に結合したcRNAから検出されるシグナルをコンピューター・プログラムで解析した。その後、妊娠5.0日に発現している遺伝子群と3.5日のデータを比較することによって、着床直後に特異的に発現する遺伝子群とそれらの発現量(mRNAレベル)を同定した。子宮角では399の遺伝子発現に変化がみられ、そのうち約半数の遺伝子の発現が着床前後で増加し、あとの半数は有意に減少していた。一方、受精卵では約 800の遺伝子の発現に変化が確認され、同様に約半数の遺伝子群の発現は増加しており、その他は減少していた。
以上のことより、着床現象がスムーズに進行するためには新たな遺伝子群の発現はもとより、着床以前に機能していた遺伝子群の抑制や停止が必要であることが推察された。現在、発現遺伝子群やそれらによって誘導される遺伝子群の解析から、母体側のみならず胚側においても着床現象に必須な遺伝子群とそれらの相互作用・関係を明らかにしようとしている。
「ポストゲノムを生き残るために−二次元電気泳動法による減数分裂誘導因子の同定−」
本道栄一
山口大学農学部・家畜解剖学講座
ポストゲノム研究の大きな柱として、遺伝子発現調節機構の解明を目指した研究が進んでいる。一方で、各組織で現実的に機能する蛋白質の合成パターンを明らかにするプロテオーム解析も平行して進みつつある。本演題では、我々がこれまでに解析を行ってきた精子発生について概説するともに、プロテオーム解析の一つのツールである二次元泳動法を用いて行った最近の研究を紹介する。
日本繁殖生物学会
若手奨励策検討委員会委員長
束村博子(名古屋大・院・生命農学研究科)
E-mail: htsukamu@nuagr1.agr.nagoya-u.ac.jp
URL: http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsar/
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