常務理事会の構成:
今期から企画担当の常務理事のポストを新設しました。塩田邦郎先生(東京大学)に初代の常務理事を引き受けていただきました。わが国では、今、学術研究の進め方が大きく変わろうとしております。科学研究費補助金の審査体制なども変化しつつあります。日本繁殖生物学会は、繁殖学の発展についても責任も負っております。そのような視点に立った学会活動の企画も必要ではないかと考えております。このようなことを踏まえ、今、日本繁殖生物学会はどのような活動をすべきか、あるいは、どのような情報を発信すべきか、長期の見通しに立った企画が必要と考えます。塩田先生の卓越したアイデアに期待しております。佐々田比呂志(東北大学)、高橋芳幸(北海道大学)、永井卓((独)農業資源生物研究所)及び西原眞杉(東京大学)の各先生にそれぞれ庶務、会計、渉外、編集の常務理事をお願いしました。仙台、札幌、筑波、東京と事務局が分散しますが、会員の方々にご迷惑かけることのないよう佐々田比呂志先生には特段の配慮をお願いしております。
学会の国際化:
平成15年に入り、長年の悲願であったJRDのISI Current Contents、ISI Web Siteへの掲載が決定しました。2月26日にPublisher Relations & Acquisitions SupervisorのGenevieve Gavin氏からメールで掲載決定の通知がありました。うれしい通知でしたが、これからが勝負であるとも考えております。4月から西原眞杉先生が編集委員長として、インパクトファクターの数値についても意識しながら力を発揮していただけると確信しております。JRDはこのように、国際化に向けて大きな一歩を踏み出しましたが、大会などについても国際化を進める必要があるのではないかと考えております。米国のSSRはカナダで、英国のSSFはフランス、ドイツなどで、それぞれの国の学会とジョイントして大会を開催しております。アジアにおいても繁殖学に関する研究は、大きな流れをなしてきております。日本繁殖生物学会がイニシアチブをとって、このような流れを加速する必要もあるのではないかと考えます。世界と連携し、国際シンポジウムなどを企画するのも一案ではないかと思っております。永井卓先生には、豊富な国際経験を踏まえ、渉外担当理事として活躍していただけるものと期待しております。
学会の基盤強化:
活発な活動を行うには、それを支える収入が必要です。幸い、JRDの出版については、科学研究費補助金の支援を受けることができております。平成14年度においては、会員一人あたり3,000円ほどの補助となっております。しかしながら補助金は、毎年採択が保証されているものではありません。採択されない年度がでてくることも想定しなければなりません。会費納入率の向上とともに、学会の活動を支える収入の確保についても真剣に論議する必要があると考えております。一方、JRDが英文誌としての機能を強化してから、都道府県の畜産試験場や家畜保健所、人工授精や受精卵移植に係わる方々などと学会の間に距離感が出たという話を聞きます。最近、JRDは色刷の和文のページを設け、そのような意見に対応しようと努力しております。私はどちらかといえば、基礎的な分野で研究をしてまいりましたが、応用、普及の重要性を強く認識しております。動物産業の第一線で活躍する方々にとっても親しみのある学会にすることが、基礎の研究者にとっても重要であると痛感しております。そのための更なる取り組みも必要ではないかと考えます。幸い、経理担当常任理事の高橋芳幸先生は臨床繁殖学を専門とされており、このような学会基盤の強化にも努力していただけると考えております。
学会の名称と賞のあり方:
日本繁殖生物学会と名称変更になってから一定の年数が経過しました。会員の中には、更なる名称変更(英文の名称も含めて)について再度、論議すべきという意見をもつ方もおられます。「名は体を表す」という言葉がありますが、学会名称は、学会が発信するメッセージの一つでもあります。日々変遷する中にあって、どのような名称を掲げるのが最適か、再度、論議することも必要ではないでしょうか。また、学会の重要な仕事の一つとして優れた研究者の表彰があります。最近、ポスター賞、大会長賞が設けられ、さらに奨励賞も設置されました。このようなことから従来からの学会賞の位置づけも変化してきていると思います。また、学会賞は、基礎、応用、普及において顕著な業績をあげられた方に授与されることになっておりますが、基礎、応用、普及の境界もやや不明瞭になってきております。さらに、研究が高度化するにつれ、グループを率いて研究を行うスタイルも増えてきております。一方、他学会との重複受賞を避けるという意識が強く働き、大きな足跡を残した研究者が、繁殖生物学会賞を受賞しないという現象も起きております。これらについても、フランクに議論する必要があるのではないかと考えます。